『13歳からの戦争学』レビュー|日本の安全保障や世界の紛争を考える

13saisensougaku 学びの本

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「ニュースで日本の周辺海域で外国の船が活動しているのを見たけど、戦争は起きないよね」

「憲法9条で戦争を放棄しているのに、どうして自衛隊は存在するの?」

「みんなが武器を捨てれば平和になるのに、どうして実現しないの?」

戦争や安全保障についてニュースを見ていると、そんな疑問が浮かぶことがあります。

そんな疑問について考える材料を与えてくれるのが、『13歳からの戦争学』です。

本書は、「紛争をどう捉えるべきか」という簡単には答えの出ない問いについて、日本の安全保障や世界で起きている紛争を題材に考えていく一冊です。

タイトル13歳からの戦争学
著者小川和久
出版社‎ アスコム
発売日2026/2/26
おすすめ度★★★★★
読みやすさ★★★☆☆
学び度★★★★★

『13歳からの戦争学』の概要

本書では、日本が戦争と無関係ではないことや、現在の平和を外交、軍事力、経済力などさまざまな要素のバランスから捉える考え方が紹介されています。

そして、現在紛争が起きている現場では何が起きているのかについて考えることができます。

著者は軍事アナリストの小川和久さん。本書から「戦争は怖いもの」で終わらせるのではなく、戦争や国同士の関係について知り、どう捉えればいいのかを「考えること」が大事なのだというメッセージを感じます。

『13歳からの戦争学』を読んで得られること

本書は序章から2章までが日本の防衛と、日本の周辺で起こっている紛争の種について書かれています。日本の状況から戦争を自分事として考えたうえで、第3章で現在起きているウクライナや中東での紛争について考えます。

  • 日本にとって戦争が他人事ではないこと
  • 日本が戦争に加わる可能性があるのかという視点
  • 日本の安全保障と日米安全保障条約について考える視点
  • 日本の持つ防衛力の規模について
  • 有事の際、日本が抱えるリスクについて
  • 憲法9条の改正をめぐる異なる立場の主張
  • 軍事力の規模だけでは捉えきれない、現代の戦争と技術
  • イスラエルとガザの紛争はなぜ起きたのか

対象年齢

13歳から大人まで。ただし、内容はかなり本格的。

出版社のタイトルは「13歳から」ですが、実際に次女に読んでもらったところ、序章から1章の途中で読むのをやめました。

本書はわかりやすい文章で書かれており、出来事の背景や解説も充実しているので読みやすいです。大人が戦争や安全について学ぶのにも向いています。

しかし、ボリュームが多いため、自分から興味を持って読まないと読み切るのは難しいかもしれません。子どもに内容を理解してもらうには、大人が要点を伝えるのも一つの方法だと感じました。

中学生<br>次女
中学生
次女

序章は読んだけれど、1章の途中で読むのをやめてしまいました。リスクや安全について知ることは大事だと思ったけれど、読み切れなかったです。

このように、次女にとっては読み進めにくい内容だったようです。歴史や戦争に興味がある子なら、読み進めやすいかもしれません。

メリット・デメリット

メリット

  • 戦争はなぜ起こるのか、戦争を終わらせるにはどのような条件が必要かが書かれている
  • 戦争を単純な善悪だけで捉えず、出来事や数字をもとに考えられる
  • 戦争や平和を感情だけで捉えるのではなく、背景や数字をもとに考える材料が得られる

デメリット

  • 解像度が高く、ボリュームが多いため読むのに時間がかかる
  • 兵器の名前で目が滑ってしまう

『13歳からの戦争学』を読んで確認したこと

本書の「日本とロシアとの戦争状態」の記述を確認しました

本書では、日本とロシアの間で平和条約が締結されていないことを理由に、法的には戦争状態が終わっていないという趣旨の記述があります。

そこで、手元の参考書だけでなく、外務省や国立公文書館の資料も確認しました。

外務省などの資料では、1956年の日ソ共同宣言によって日本とソ連の戦争状態は終了し、外交関係が回復したと説明されています。一方、平和条約についてはその後も締結されていません。

念のため出版社にも確認したところ、著者の小川和久さんにも確認していただき、「ご指摘の通り」との回答をいただきました。出版社からは、今後の版で該当箇所を修正する予定とのことです。

本書の「ブダペスト覚書」の記述を確認しました

本書には、日本がブダペスト覚書の署名国であるという記述があります。

しかし、外務省・防衛省などの資料を確認したところ、1994年のブダペスト覚書の当事国は、ウクライナ、ロシア、アメリカ、イギリスが関わっていると説明されており、日本が署名国であることは確認できませんでした。

この点について出版社にも問い合わせをしたところ、著者の小川和久さんにも確認していただき、「ご指摘の通り」との回答をいただきました。

出版社からは、今後の版で該当箇所を修正する予定とのことです。

なお、日本はG7の一員として、旧ソ連諸国の核兵器の解体・廃棄支援などに協力をしています。

よくある疑問

Q.知識がなくても読めますか?

丁寧に解説されているので、読みやすいと思います。

私は『13歳からの図解でなるほど地政学』を読んだ後だったため、日本にとってのシーレーンの重要性などの理解がしやすかったです。この一冊だけでなく、地政学の本を読むこともおすすめです。

\『13歳からの図解でなるほど地政学』レビュー/

Q.いつまでの出来事が書かれていますか?

本書では、2026年1月ごろまでの出来事を中心に扱っています。

『13歳からの戦争学』と『13歳からの日本外交』『13歳からの国際情勢』との比較

本特徴おすすめする人
『13歳からの戦争学』(本書)日本や周辺国の現在の安全上の現実や課題から、これから備えるべきことを考えられる戦争や安全保障について、基礎から考えてみたい人
『13歳からの日本外交』日本と国際社会とのかかわりについて学べる日本の立場から国際問題を考えたい人
『13歳からの国際情勢』現在起きている国際的な政治や紛争の背景について学べる世界で起きているニュースの背景が知りたい人

比較した2冊についてもレビューしています。我が家で実際に読んで本音レビューを書いています。お子様の興味に合わせて選んでみてくださいね。

\『13歳からの日本外交』レビュー/
\『13歳からの国際情勢』レビュー/

家族で読んだ感想

わかったこと

日本にとって戦争が他人事ではないこと

本書では、日本の周辺に台湾、朝鮮半島、中国、ロシアなど、安全保障上のさまざまな問題を抱える地域・国があることが説明されています。現在の平和はさまざまな要素のバランスによって成り立っているという考え方が示されています。

ニュースで報じられる台湾周囲での中国の軍事行動などは、日本だけでなく、アメリカにとっても注視する問題であることが書かれています。

日本が戦争に加わる可能性があるのかという視点

台湾有事が起きた際、日本がどのような形で関与することになるのかは、事態の状況によって変わります。本書では、日本がアメリカを支援する可能性や、日本自身が攻撃を受ける可能性など、複数のケースについて考えています。

日米同盟の中で、日本とアメリカがそれぞれどのような役割を担うのかを考えるきっかけになりました。

また、戦争に参加するかどうかを議論する前に、外交努力を行ない戦争が起こらないようにすることも大切だと改めて認識しました。

母
母

日本が他国に対し攻撃をしなければ、戦争に巻き込まれることはない」と中学生ぐらいの時に思っていました。

母
母

お互いがけん制しあっているような今の状況が、安心はできないけれど、このまま保たれることを願っています

日本の安全や日米安保条約の考え方捉え方

日本は日米安全保障体制の下で、アメリカの抑止力も活用しながら、自国の防衛や外交を行っています。日本が攻撃された場合の日米の対応については、日米安全保障条約に定めがありますが、具体的な対応がすべて事前に決まっているわけではありません。

私は「戦略的曖昧性」という言葉が印象に残りました。本書では、あえて対応を明確にしないことが、相手の判断や行動に影響を与えるという考え方が紹介されており、外交の難しさを感じました。

日本の持つ防衛力の規模について

装備の種類や性能だけでなく、人員や継続的な運用まで考える必要があることに気づきました。

「軍事力の大きさ」を単純に装備の数だけでは比較できないのだと感じました。

有事の際、日本が抱えるリスクについて

日本は資源の多くを輸入に頼っている国です。

本書が書かれた後、2026年3月には米国・イスラエルとイランの間で攻撃の応酬が起こり、ホルムズ海峡の航行にも影響が生じました。

本書の中でもホルムズ海峡の封鎖のリスクについて触れられています。

有事の際の想定を行い、リスク分散をすることの大切さが実感としてわかる出来事だったと思います。

憲法9条の改憲派、護憲派の主張

憲法9条の改正をめぐっては、改正を求める立場と、現在の条文を維持する立場の双方からさまざまな主張があります。本書では、それぞれの考えを知ったうえで、この問題を考える材料が示されています。

私自身も、憲法と自衛隊の関係について、普段は深く考えていなかったことに気づきました。

現代の戦争では、ドローンなどの技術が戦い方を変えている

現代の戦争ではドローンなどの技術が、軍事力の規模が異なる国同士の戦い方にも影響を与えていることがわかりました。

技術は戦争で磨かれていくというのは、悲しい現実ですね。

本書をきっかけに有線ドローンについて調べました。光ファイバーを使って通信するタイプは、無線通信を妨害する電波妨害の影響を受けにくいとされています。

パレスチナをめぐる紛争はなぜ続いているのか

本書では、イスラエルとパレスチナをめぐる歴史や、オスロ合意以降の経緯についても解説されています。長い歴史の中で、さまざまな立場や利害が絡み合っていることがわかります。

どのような解決策があり得るのか、簡単には答えを出せない問題だと感じました。

家族の反応

母
母

私は、日本の安全や核の考え方について、なんとなくの理解しかしていませんでした。

母
母

非核三原則そのものは法律ではなく、政府が政策上の方針として掲げてきたものだったのですね。

父
父

本を通して、まんべんなく知識を得られるのはいいよね。

父
父

各国の軍事力比較とかで、ネットで記事を見ても、持続力とか人員とかまで考慮されていないのもあるしね。

次女
次女

国同士の関係を保つ外交の仕事、頭が良くないとできないと思う。

長女
長女

私もそう思う、私だったら安請け合いとか言いきりとかしちゃいそう

人と人との関係でもトラブルやいがみ合いは発生します。

それが、さまざまな背景や歴史を抱えた国同士の場合は更に込み入った問題になると感じました。

戦争のニュースを見ると不安な気持ちや疑問でいっぱいになりますが、事実と理由を知ることは、一人一人にとって大切なことだと思います。

まとめ

『13歳からの戦争学』は、戦争を「怖いもの」として終わらせるのではなく、なぜ戦争が起こるのか、日本はどのように安全を守ろうとしているのか、世界ではどのような紛争が起きているのかを考えるきっかけになる本です。

日本の防衛、日米安全保障条約、憲法9条、ウクライナや中東の紛争など、扱っているテーマは幅広く、内容もかなり本格的です。

そのため、13歳から読める本ではありますが、次女のように中学生が一人で読み切るには少し難しく感じる場合もあると思います。

一方で、ニュースで見た出来事について「なぜ?」「日本にはどんな影響があるの?」と考えるための材料はたくさんあります。

私自身も、この本を読んで初めて知ったことがあり、さらに調べることで、本に書かれている内容と公的資料との違いに気づいた部分もありました。

戦争や安全保障について、一つの答えを覚えるためではなく、ニュースの背景を知り、自分で考えるための本として読んでみたいと思える一冊です。

記事内で紹介した本

あわせて読む事で、国同士の関係や国際情勢に対する理解が深まります。

『13歳からの日本外交』

『13歳からの国際情勢』

概要
現役外交官が、日本の国防や他国の政治などを通して、世界で何が起こっているのかを解説する

  • 現在起きている紛争や政治問題の背景が中心
  • 世界の主要な地域ごとに国際情勢を学べる
  • 世界で起きているニュースの背景を知りたい人におすすめ

\『13歳からの国際情勢』レビューはこちら/

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