優しく接する事だけがやさしさではない。行動の後ろに見えるやさしさが読む人の心を癒してくれる本です。
| タイトル | カフネ |
| 作者 | 阿部暁子 |
| 出版社 | 講談社 |
読み始めた理由
まず目を引くのはカバーデザイン。ダークカラーだけど、温かみのあるデザインがどんな本なのだろうと興味をひきました。タイトルの意味もわからず、だけど美しい響きだと気になります。
その中でなぜ、敢えて汚い印象を持たせる食べかすの残ったお皿を中央に置くのか。思わず手にとってしまいました。
概要
弟を亡くし悲しみを抱えた主人公、薫子が弟の元婚約者、せつなと関わる。家事代行業を通じて人の心の弱さや優しさに触れていく。
読み進めていくにつれ、そっけなくあった周りの人の心の内や、優しさに触れていき、自分の中で見失っていた生きる目的を見直していく事となる。
ネタバレ無し感想
読むと優しい気持ちになることが出来る、素敵な本でした。文章の一つひとつが最後の結末に向けての大事なピースになっていて、疲れたときにまた読み返したいと思う本です。
こんな人におすすめ
- 優しい物語を読みたい人
- 家族とは何かを考えたい人
- 料理や暮らしについて、想像を張り巡らしたい人
ネタばれ感想
最初は薫子もせつなも表面的な所はとっつきにくい人柄だと感じました。けれども物語を読み進めるうちに、各人の別の側面も現れ始めます。現実の人間も多面的な所は多く存在し、この物語の中でもその多面性を上手に表現しているなと思います。
この物語を読むと、愛と恋について考えさせられました。私が「愛」という言葉を聞いてすぐに思いつくのは「恋愛」です。だけれど、「愛」と「恋」は同じものではありません。「恋愛」「愛情」「恋心」と言った、複数の表現方法も存在します。この物語では人と人が愛情で強く支えあっていて、その描写の中から、「これは愛なのか恋なのか」について考えさせられました。すべてを言葉にして表現しているわけではないからこそ、自分で感じ取りながら読み進めることができる本です。
そして、タイトル「カフネ」の意味も小気味良くこころに残るようになっていて、読後感の良い作品でした。
※我が家での会話(ネタバレが含まれるため伏字にしています。)

結局、弟の死は○○だったの?

最期の描写から考えると、△△だったんじゃないかな。

はっきり書いてほしい・・・

なるほど。余白を楽しむより、答えを知りたいタイプなんだな。
以前読んだ『映画を早送りで観る人たち』を思い出しました。
同じ作品を読んでも、そこから何を受け取るかは人によって違う。親子でもそれぞれで「物語との向き合い方」の違いが見えてくるのが面白いと感じました。


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